ゲーミングおかあさん

ゲームと歌とわたし

小さく揺れる 影を踏む幸せ

あいみょんの歌の中で何が一番好きですかと聞かれたら、うんうん唸ったあとできっとハルノヒって答えると思う。そのくらい、ハルノヒが好きだ。わたしはあまり電車が得意じゃないので、電車に乗って東京へ行くことはほとんどないし、もちろん北千住駅にも行ったことはない。それどころか、北千住駅が東京のどのあたりにあるのかさえ知らない。それなのに、よく知っている街のように、プラットホームや改札の風景が目に浮かんでくるからほんとうに不思議。言葉のちからってすごいよね。

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きのうの夜、お米がなくなってしまったので、夫とふたりで買い物に出かけた。帰り道、なぜか夫が若い頃に樹海や観音ヶ崎へ出かけたときの話になって、友達はちりんちりんって音が聞こえたのに自分は何も聞こえなかった、でもやっぱりなにかずっと重たい感じがしてた、ほんとうバカだよね、こどもたちがそんなことしようとしたら全力で止めるわ、などと和やかに笑いあっていた。

その角を曲がったらおうち、というところまできたとき、ちょうどわたしが小さい頃におじいちゃんから聞いたあほらしい火の玉の話をしたあたりで、急に空気がもわーんってゆがんだ。そして、おうちに着いたとたん車からキーコキーコってきいたことのない音が鳴った。びっくりして叫び出したい気持ちになったけど叫んだりしたらもっと怖くなるから、何もなかったかのようにさっさと車を降り、荷物をおろして、あたたかい灯りがついている玄関に立った。明るいところに身をおいて暗闇を見つめているうちに、怖さはすっとひいていって、ただいまと玄関のドアをあけたらジルとナッツが揃って待っていて笑った。

窓から灯りがもれていること、玄関がほわんと明るい灯りで満たされていること。いつもはあたりまえのことすぎて気にもとめなかったけれど、こんなにもホッとする幸せなものなんだね。明日からはこどもたちが帰ってくる前にちゃんと灯りをつけよう。最近日暮れが早くてうっかり忘れていることが多かったから、と心に誓いながら、両手をパンっと打ち鳴らして邪気払いをした。そのときの、夫のぎょっとした顔を思い出すと、ちょっと笑える。